神流川展望テラス-1

川と緑と空と

春の雪解け前に、川の流れと深く爽やかな「緑」の景観とを眺めるためのテラスを造ってほしいという依頼を受けた。上野村はご承知の通りかつて日航機が墜落した御巣鷹山で知られることになった群馬県西部、長野県境に近い奥多野の、山深い辺境の地である。

利根川に流れ込む神流川に沿って、右に左にうねうねと続く山際の一本道を車で1時間半ほど入った先、神流川上流の美しい山村集落である。すでに親水のための施設は上流に幾つか設えられてはいるが、

河川まで7~8mもある断崖絶壁のようながけ地に立体的な展望・親水のためのテラスを造りたいというのだ。

がけ地に建設する施設は建築というよりはかなり土木的な要素が色濃くて

土や岩とどう関わるかといった、きわめて難しい課題を幾つも乗り越えなくてはならなかったが… 。 ともかくも、こうしてめでたく施設は完成の日を迎えることができた。

既設の「道の駅」から川側に出ると川に沿って張り出した広いテラスに出る。

眼前に広がる圧倒的な深い緑と共に…川音と小鳥のさえずりと川風とが実に気持ちよく迎えてくれる。

3層に連なるデッキづたいに川に導かれる計画だが、親水エリアの工事は翌年春からの予定である。

展望テラスにはバーベキューコーナーまで設備されている。がけ地ゆえに強度優先の構造計画となっているが、鉄とコンクリートとの塊のような施設にもかかわらず、「自然」と心地よく交われるようにと、天井と床とには地場産の杉と檜とをふんだんに使った。「木」を主役とすることで、木の温もりと共に、人も建築も 「自然」と優しく溶け合うような場になってくれることを願った。自然と対峙するというよりは、自然と仲良く響き合えるような心地よい場になってくれることを期待したのだ。