2001年12月
建築家/小見山 健次
■原点への回帰
「国民文化祭」あるいはその「開・閉会式イベント」と聞いても、「はて…?」と応える人が大方かもしれません。群馬県での開催が第16回目、東京を皮切りに16年間の歴史を持ち、文化の国体とまで位置づけられているのに、ほとんど印象にないのがこの「国民文化祭」であり、「開・閉会式イベント」でした。なぜならそれらの企画の多くは依託された大手イベント会社が取り仕切り、場慣れした、著名な全国区の芸能集団やアーティストたちが手際良く繰り広げる〈きらびやかな芸能の祭典〉だったからです。芸能プロダクションが行う少し規模の大きなショーイベントとなんら変わりのない、およそ県民との関係性など希薄で形式的な、その場限りの「お祭りイベント」でしかありませんでした。そんな祭典を、原点に立ちかえって再考しようとしたのが我が群馬県でした。
■映画監督・小栗康平
開・閉会式イベントの総合企画者、演出者として起用されたのは前橋出身の映画監督・小栗康平でした。小栗は群馬県が数年前につくった映画「眠る男」の監督として知られています。しかし地域の体育館でまで上映されたはずの映画が意外と見られていない。そればかりか、見たという人も感想を問うと大概の人が言葉に詰まる。彼は同じ映画監督でも、山田洋次とか黒沢明のように大衆にまで支持された監督とは違って、社会派、言葉を変えれば「難しい映画をつくる監督」と位置づけられてきました。彼の一連の作品「泥の河」や「死の刺」に至っても、作品は様々な世界的映画賞を受賞しているにもかかわらず周知されない。少なくとも群馬では《「眠る男」をつくった小栗監督》という言葉だけが一人歩きしてきたのでした。
会場全景
火とぼしやぐら
ベンチ群
雨のフェスティバル
―第16回国民文化祭・ぐんま2001
4-1