助け合う

新装開店に向けての建築工事は町で頑張る工務店さんが、大きな力を貸してくれた。私の設計内容と予算計画とでは厳しい限りの状況だったが、当の工務店さんだけでなく、Sさんの友人たちまでが店づくりから誘客に関わる詳細なことまで、本当に頭が下がるほどに力を貸してくれた。これもSさん自身が、生まれ育ったまちにこだわり、自分の住むまちだからこそ、皆で協力し合える、真心のこもった関係づくりを大切にしてきて、はじめて実現したことだったはずだ。

広い視野

Sさんは高校を卒業してすぐにイタリアに渡り、料理の修業を始めたらしい。2人の息子にイタリアの都市の名前を付けてしまうほどに、イタリアにかぶれて帰ってきた。魚屋というと日本らしい、「和」のイメージが相応しいようにも思えるが、彼は店のイメージをあからさまな「和風」とか「居酒屋風」にはしないでくれと望んだ。『パスタが出されてもおかしくないような雰囲気、若い人がカジュアルな気分でお刺身が食べられるように』とは、彼流の〈インターナショナルデザイン〉のつもりだったかもしれない。

まちの個性

今の子供たちは、コンクリートやガラスで出来た「箱」のような校舎で学ぶ。先日も地元の幼稚園の計画案を募る建築設計コンペがあり参加させてもらったが、当選したのは無国籍な、いわゆる「機能主義建築」であった。便利さを追求することは、無駄を排除することとも言える。遠回りすることは良くないことという発想だ。そうした意識は「遊び心」や「心の余裕」、ひいては自然との親しみ、自然や地域そのものと触れ合う心を衰えさせる。お金の厳しい、不況の時代は人の心を世知辛く、殺伐とさせるから、地域や土地の風土を暖かいものとして良しとする、かつての「地域主義」は今は流行らないらしい。どこの町も同じような無味乾燥としたデザインの建物ばかりで構成される結果となっているのに、大方の人々は自分の町の個性をどのように意識しているのだろうか。
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建築家/小見山健次
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まちで暮らせる大人になってほしい
子供たちの未来へのメッセージ
新春宣言-2
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